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2025/10/24
細胞培養加工施設について:細胞培養加工施設(Cell Processing Center)の設備
・細胞培養加工施設の設備
特定細胞加工物は、主にヒト由来の細胞や組織から得た生きた細胞を用いるため、医薬品のように最終滅菌法やろ過滅菌法による無菌化操作を行うことができません1)。そのため、製造過程においては、外部からの病原体や微生物の混入リスクを最小限に抑える必要があり、管理が徹底された設備環境で生産されることが不可欠です。
特定細胞加工物の製造は、再生医療等の安全性の確保等に関する法律(安全確保法)で定められている、細胞培養加工施設(Cell Processing Center:CPC)で行われます。CPCは、安全確保法に記載されている特定細胞加工物の製造過程において、遵守すべき品質管理や環境面の基準を満たし、厚生労働省に認可を受けている施設です。本記事では、CPCの種類、構造設備基準や管理体制について紹介します。
細胞培養加工施設(Cell Processing Center:CPC)の種類
CPCには、安全確保法に基づき医療機関内の届け出施設で製造を行う院内CPCと、厚生労働大臣の許認可を得た外部機関のCPCの2種類があります(図1)2)。院内CPCでは、採取後の組織や細胞を院内で加工、処理できるため、治療に利用するまでの時間的なロスを最小限に抑えることが可能です。また、単独の機関で取り扱うので、患者や製造した特定細胞加工物のデータを管理しやすいというメリットがあります。一方で、個人のクリニックなど単独の機関で院内CPCを設置するには、設備コストや専門性の高い人材の確保など、そのハードルの高さが課題です。
院内CPCを持たない医療機関の場合は、外部機関のCPCに依頼し、特定細胞加工物の製造を委託することができます。外部機関に依頼する場合は、院内CPCと比べて検体の輸送等に時間を有するものの、クリニックに独自の設備を導入する必要が無く、設備等管理コストを抑えることが可能です。さらに、外部のCPCは、広範な施設や設備を持っているため、扱える検体数が多く、より大規模で複雑な処理を行える見込みが高くなります。

図1. 医療機関内CPCと外部機関のCPCにおける細胞培養加工の流れ2)
出典:再生医療等安全性確保法の下で運営される特定細胞加工物製造施設の施設要件について
細胞培養加工施設の設備
特定細胞加工物は、従来の医薬品と同様に、施設の衛生状態を管理するためのエリア設計と、加工プロセスにおける外部汚染リスクを排除するための、適切な運用管理が不可欠です。特定細胞加工物の製造は、病原体の感染や異物混入を防ぐために、無菌環境での実施が必要です3)。CPC内には、製造する細胞培養加工物の特性に応じて、細胞調製室、サプライ室、細胞保存室、出荷検査室など、作業の目的に合わせた付帯設備が備えられています(図2)4)。例えば、細胞調整室には無菌環境下で細胞の調整を行うためのバイオハザード対策用のキャビネットが設置されており、その他CO2インキュベーターや、試薬保冷庫、遠心分離機および顕微鏡などの細胞調製作業に必要な設備が設置されています。

図2. CPCの構造例4)
CPC内には、細胞調製室、サプライ室、細胞保存室等の部屋があり、各作業エリアの空気中に含まれる塵埃や環境微生物のモニタリングが求められる。
出典:細胞プロセシングセンター
セルプロジャパン株式会社の取り組み
セルプロジャパン株式会社では、厳しい検査基準をクリアした製品のみを提供しています。製造では製造工程検査と最終製品検査に様々な検査規格を設けており、これらをすべてクリアした製品のみが出荷対象です。さらに、自社CPCの設置も完了し、現在は施設登録中です。
参考文献
1)一般社団法人日本再生医療学会., 再生医療等安全性確保法における細胞培養加工施設での無菌操作に関する考え方 第3版, 2021.
2)川真田 伸., 再生医療等安全性確保法の下で運営される特定細胞加工物製造施設の施設要件について, Japanese Journal of Transfusion and Cell Therapy, 2021.
3)Manabu Mizutani, Hazuki Samejima et al., Experience of contamination during autologous cell manufacturing in cell processing facility under the Japanese Medical Practitioners Act and the Medical Care Act, Regenerative Therapy, 2016.
4)笠井 泰成., 細胞プロセシングセンター, 日本内科学会雑誌, 2019.