研究者COLUMN

研究者COLUMNでは、化粧品や美容にまつわる最新の研究成果や技術の解説を掲載しています。研究者たちの専門的な視点や自社の研究内容を基に分かりやすく解説した、身近な美の情報が満載です。

  • Home
  • 研究者COLUMN
  • 血液加工物による治療法について:多血小板血漿(PRP)の製造方法

2024/06/17

血液加工物による治療法について:多血小板血漿(PRP)の製造方法

ポイント
・PRPの製造方法について
・PRPの製造方法-PRP法
・PRPの製造方法-バフィーコート法

一般的な多血小板血漿(以下、PRP)の製造方法には、PRP法とバフィーコート法の2種類があります。これらは血液成分の比重の違いを利用して、遠心分離操作などにより目的の成分のみを分離する方法です。現在では、これらのシステムを基にPRPを製造するためのキットが数多く市販化されており、操作の簡易化・安定化が進んでいます。しかしながら、PRPは遠心分離速度や時間、活性化剤の有無といった製造時の条件の影響を受けやすく、最終産物に含まれる血小板と白血球、成長因子濃度がプロトコルごとに異なることが課題となっています。また、市販のキットはコストが高く、利用に制限があります。このことから、最適で一貫したPRPを得るために、より安全でシンプルなプロトコルの標準化、コストの削減が求められています。本記事では、PRPの製造方法について紹介します。

PRPの製造方法について

これまで、PRP製造のための遠心分離の至適条件を検討した文献が数多く報告されてきました(図1)1)。しかしながら、文献ごとにプロトコルが異なるため、有効性を適応症ごとに比較した報告は無く、国際的に標準化された製造方法の基準はありません。日本においても、PRP療法は臨床研究および自由診療下でのみ実施されていることから、製造法に関する基準が存在せず、病院ごとにプロトコルが設定されています。それらのプロトコルの多くは、下記の一般的な方法(PRP法、バフィーコート法)が基になっています。

図1. 血小板収量に関する各種プロトコルの比較1)

PRPの製造方法-PRP法

血液凝固剤の入ったチューブで対象者より全血を採取し、低速での遠心処理により赤血球と血小板を含む血漿分画に分離します。血漿分画のみを回収し、高速で遠心分離を再度行うと、血小板欠乏血漿(上層2/3)、多血小板血漿(PRP)(下層1/3)に分離され、底部には少量の血小板ペレットが形成されます。血小板欠乏血漿を除去し、チューブを静かに混和、血小板ペレットを最少量の血漿(2~4ml)に懸濁し、最終産物として使用します(図2)1)

図2. PRP法のフローチャート1)

PRPの製造方法-バフィーコート法

血液凝固剤の入ったチューブで対象者より全血を採取し、高速で遠心処理を行います。遠心分離により、上層: 低血小板血漿, 中間層(バフィーコート): 白血球を含む血小板濃縮物, 下層: 赤血球の3層に分離されます。上層を除去し、中間層のみを回収後、低速で遠心分離するか、ろ過フィルターを使用して白血球を分離し、最終産物として使用します2)

【引用】
1) Rachita Dhurat and Ms Sukesh., Principles and methods of preparation of platelet-rich plasma: a review and author’s perspective, J Cutan Aesthet Surg, 2014.
2) Thomas Collins et al., Platelet-rich plasma: a narrative review, EFORT Open Rev, 2021.

セルプロジャパンとは

セルプロジャパン株式会社は再生医療を中心に
新しい医療の可能性を追求する企業です。
私たちの対象分野は再生医療、医薬品、化粧品など多岐にわたり、各分野における研究開発に日々取り組んでいます。

メーカー・医療機関の
みなさまへ
メーカー・医療機関の
みなさまへ